船頭さんからも「よくやったなぁ」と一言ももらいながら、少しずつ小さくなっていく釜島を眺めていた。「もう二度と来ることはないんだろうな」
無人島生活も4日目の朝を迎えた。無事に水も補給でき、昨日一昨日とは明らかに違った気持ちで朝を迎えている。思えばここ数日水のことばかり考えていたかもしれない。心配からは前向きな行動は生まれないわけで。
「人は食べ物がなくても2−3週間生きられるが、水を一滴も飲まないと4−5日で絶命する。」 なんてどこかで聞いた言葉が脳裏に浮かんだ無人島生活3日目の夜。
ここでは人間の社会で作りあげられた常識はない。自然の摂理に従った時間軸や環境だけが自分たちのそばにある。
19歳のある夏の日、僕たちは無謀な計画を立てていた。岡山県にある「釜島」という無人島で1週間暮らすというものだ。